この記事は、Engineering Manager Advent Calendar 2022 #2の12日目の記事です。
はじめに
メーカーでソフトウェアエンジニアとして働いているmongolyyです。
普段はテックリードやスクラムマスター的な立ち位置で働いています。
現在の会社に転職してチーム立ち上げを経験し、2年半ほど経過しました。
今までの経験を踏まえて大事にすると良さそうなことを書いていこうと思います。
テックリード、スクラムマスターの視点が多めのポエムですが、PM、PdM、EM等も含めて、チームをリードする方のお役に立てるように書きたいと思います。
チームをリードする者の使命は何か?
私は「チームのアウトカムを最大化すること」が使命だと考えています。(組織によっては、プロダクト、プロジェクト、ピープル、テクノロジーのいずれかの分野での説明責任も追加で伴う)
これを達成するために、リードする者はチームメンバーの能力、やる気を引き出す必要があると考えています。
大事にしている価値観
チームメンバーの能力、やる気を引き出し、チームのアウトカムを最大化するために、次の価値観を大事にしています。
- すべての選択において、トレードオフが存在する
- もっといい方法があるに違いないと信じ続ける
- チームメンバーへの信頼
「すべての選択において、トレードオフが存在する」は当たり前ですが、若手の頃はこれが認知できていませんでした。
自分の能力や経験、世間のトレンドに流されて、異なるコンテキストを持つチームメンバーと対立することがありました。
冷静にトレードオフを整理して、チームで意思決定をしていくことが必要だと思っています。
「もっといい方法があるに違いないと信じ続ける」は「スーパーエンジニアへの道」という本の受け売りです(笑)。
チームの能力、自分自身の能力を引き上げていくには重要な考えだと思っています。
これも、若手の頃は認知できておらず、上司や先輩に言われたことを鵜吞みにしたり、逆に自分の中で確立した考えと対立する意見は耳に入らなくなるという、思考停止の状態になっていました。
今思うと成長の機会を逃していたなーと思います。(この失敗があったから、この価値観になったというのもある)
「チームメンバーへの信頼」も当たり前のことだと思いますが、念のため。
有名なHRTの原則にも含まれていることになりますが、若手の頃はこれができておらず、自分でやってしまった方が早ければやってしまっていました。
負荷分散、ノウハウの伝承といった観点から、メンバーを信頼して任せるべきだったと感じています。
また、信頼できない人をそもそもメンバーにすべきでないと思っています。
メンバーが選べない状況の場合は、チームの二人目だけで良いので慎重に選んだ方がいいと思っています。
私もまだまだですが、メンバーを選ぶ目を磨くのに「人を選ぶ技術」という本が参考になります。
価値観を体現するためのプラクティス
価値観を体現するために次のことを実践しています。
- 自分の器を大きくする
- 俺たちVS課題の構図を作る
- 不吉な臭いに気づけるように一歩引く
それぞれについて具体的に説明していきます。
自分の器を大きくする
器が大きくなることによって余裕が生まれ、他人の意見を聞いたり、検討の幅が広がります。
器の大きさは口の広さと底の深さで表現できます。
私は口の広さとは人としての考えの許容範囲であり、底の深さは知識や経験の量だと思っています。
リードする人は、チームで一番知識や経験がある人がなることが多いので、底の深さ(知識や経験の量)は問題にならないことが多いです。
一方問題になるのが、口の狭さです。
口を広げる方法の一つとしてunlearnするというのがあると考えています。
unlearnするには次のようなことができます。
- やっていることを変えてみる
- やっていることを変えて、違う風習に触れてみるといいと思います
- 変えるのは、チームでも、技術でも、師匠でも、コミュニティでも、色々な方向性があると思います
- 変えたときに大事なのは、「郷に入っては郷に従う」ことです
- やっていることを変えて、違う風習に触れてみるといいと思います
- 松竹梅メソッドをやってみる
- 詳しくはこちらを 方法不確実性を下げるための松竹梅メソッド - 貳佰伍拾陸夜日記
- 頼れる相棒やプロに相談する
- 会社の仕組みでメンターや技術顧問がいる場合はそういう方に相談するといいと思いますし、信頼できる同僚(相棒)に相談するというのも手だと思います
- 若手に任せてみる
俺たちVS問題の構図を作る
共通の目標設定や課題認識を作ることで、建設的に課題を解決したり、自発的に改善できるようになります。
また、自分たちの成長を感じるという意味でも目標設定や課題認識をすることは重要です。
目標設定や課題認識、解決で重要なことはチームの腹落ち感です。
時間がかかりますが、みんなで意見を発散させて、みんなで決めるというのが重要です。
可能であれば自分はファシリテーターに徹して、皆の意見を聞いて整理する、議論が建設的に行われているか観察する役回りになれると良いです。
私は、一歩下がり、議論の中心をチームメンバーに任せてみたところ、自分が考えていなかった良いアイデアが出て採用される場面に遭遇してきました。
目標や課題対応に対するメンバーのオーナーシップの意識や熱量が高く、チームに任せることは有用なやり方だと感じています。
不吉な臭いに気づけるように一歩引く
プレイヤーとしてチームに参加している場合に陥りがちです。
自分もチーム立ち上げ当初は、自分もプレイヤーであるがためにチームのやり方に関する不吉な臭いを察知できないことがありました。
今は、スクラムマスターやファシリテーターのような一歩引いた視点で、プロセスに問題ないか観察するようにしています。
不吉な臭いを感じたら、自分が前に出て解決するのではなく、チームに問いかけて反応を観察することも大事なポイントだと思います。
ここもチームに任せるというのが重要です。自分は問題意識があってもチームメンバーからは問題だと思われていないことは結構あります。
そして、冷静になってみるとチームメンバーの感覚の方が適切であることがほとんどです。
もちろん、メンバーの認識不足で実は大きな問題ということもありますが、全員の反応が芳しくない場合は冷静になって、自分の感覚を疑った方がいいです。
おわりに
偉そうなことを書きましたが、まだまだ不十分なこともあると思います。
チームメンバーが見たら、「こんなにできてねーよ」と怒るかもしれません(笑)
また、今回紹介したことが一番良い価値観やプラクティスとも思っていません。
私の中でも数年後には変わっているでしょう。
とはいえ、誰かの役に立つかもしれないので現時点での私の考えをアウトプットすることにしました。どなたかの役に立てれば幸いです。
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